不動産屋になる前は、
家は「住む場所」だと思っていました。
土地があって、
建物があって、
リビングがあって、
寝室があって。
でも、この仕事を始めて、
たくさんの家と、
たくさんのお客様に出会って、
少し考え方が変わりました。
家って、ただの箱じゃないんですよね。
3LDK、80㎡、築20年
不動産屋なので、
物件を見ると、どうしても数字を見ます。
面積。
築年数。
駅からの距離。
土地の坪数。
方角。
価格。
もちろん、全部大切です。
でも、お客様と話していると、
その数字の向こう側にあるものが見えてきます。
「ここが子供部屋でした」
「この柱に、毎年子供の身長を書いていたんです」
「父がこの庭をすごく大切にしていました」
そんな話を聞くと、
さっきまで見ていた
「築20年・3LDK」
という物件が、
急に違って見えてきます。
新しい家にも、これから物語ができていく
反対に、
これから家を買うお客様もいます。
まだ何も置いていない、
空っぽのリビング。
でも数年後には、
そこにソファが置かれて、
おもちゃが転がって、
壁に写真が飾られているかもしれません。
子供が走り回って、
「静かにしなさい!」
なんて怒られているかもしれません(笑)
今はただの空室でも、
そこから、
誰かの思い出が始まります。
お店の物件だって同じです
私たちは住宅だけではなく、
店舗のご相談をいただくこともあります。
まだ何もないテナントで、
お客様が、
「ここにカウンターを作って……」
「ここに看板を出して……」
と楽しそうに話している。
その時点では、
まだお店はありません。
でも、その方の頭の中には、
もう完成したお店が見えているんですよね。
そして数か月後、
本当に看板が付いて、
照明がついて、
お客様が入っている。
前を通ったときに、
「あ、本当にお店になった」
と、ちょっとうれしくなります。
不動産屋だけが味わえる、小さな楽しみかもしれません。
売ったら終わり、では少し寂しい
不動産という仕事は、
契約が終われば一区切りです。
仲介手数料をいただいて、
鍵をお渡しして、
仕事としては完了。
でも、
せっかく人生の大きな場面に関わらせてもらったのに、
それで終わりでは、
ちょっと寂しいなと思います。
数年後、
「子供が大きくなったので、また家を探したいです」
とか、
「今度は親の家のことで相談したくて」
とか。
そんなふうに、
また連絡をいただけるとうれしいんです。
不動産屋は、人生の節目にいる
初めての一人暮らし。
結婚。
出産。
マイホーム購入。
転勤。
独立してお店を始める。
相続。
そして、長年暮らした家の売却。
考えてみると、
不動産屋が登場するのは、
人生が少し動くときが多いんです。
だから、
物件だけを見ていてはいけないんだと思います。
その人が、
「なぜ、この不動産を探しているのか」
そこまで考える。
それができる不動産屋でありたいと思っています。
そして、これからも
星ヶ丘不動産も、
最初は誰にも知られていない小さな不動産屋でした。
それが少しずつ、
家を探している方、
家を売りたい方、
お店を始める方、
そして以前のお客様からご紹介いただいた方。
いろいろな方に声をかけていただけるようになりました。
本当にありがたいことです。
これから先、
会社がどんなふうになっていくのかは分かりません。
でも、一つだけ、
変えたくないことがあります。
不動産ではなく、その向こうにいる「人」を見ること。
家は、
ただの土地と建物ではありません。
そこで笑ったり、
泣いたり、
ケンカしたり、
仲直りしたり。
何でもない毎日を過ごす場所です。
だから私たちは、
一つひとつの不動産を、
できるだけ大切に扱いたいと思っています。
そしていつか、
「そういえば、あの家を買ったとき星ヶ丘不動産だったね」
なんて、
家族の思い出の片隅に、
少しだけ星ヶ丘不動産が残っていたら。
不動産屋として、それ以上うれしいことはありません。
これからも、
人と家をつなぐ不動産屋として。
星ヶ丘不動産でした。
